瓜生中 公式ブログ
日本人を知り、その歴史と文化を知る。そこに未来が拓ける
未分類

アイヌの感染予防

「ひたすら山奥に逃げる」
江戸時代に書かれた『菅江真澄遊覧記』という書物には北海道のアイヌの感染予防対策について書かれている。

アイヌは医薬や医療の心得があり、病気の治療のノウハウを持っていたという。
しかし、日本人とは異なる北方系の民俗で日本人の病気に対しては対処する術(すべ)がなかったという。

だから、彼らがシャモ(和人〈わじん〉)と称する日本人の病気に対しては常に恐怖を抱いていた。
日本人の集落などに疫病が発生したという情報を得ると、村を捨てて一目散に山の奥に逃げたという。

そして、逃げてきた土地にも疫病の危機が迫るとさらに山奥の逃げて行った。
これがアイヌが編み出した感染症対策だった。

もっとも、北海道の原住民としてのアイヌの人たちが和人と接触するようになったのは江戸時代に幕府が松前藩を置いてからのことである。

しかも和人はアイヌを使役などに使って厳しく支配した。
日本人の山村などで行われていたように村を閉鎖して他者の流入を防ぐという強硬手段をとることができなかった。

そこでアイヌの人たちは村を放棄するという苦肉の策で乗り切ろうとしたのである。

いま、新型コロナウィルスの感染者が出ていない岩手県や感染者の少ない地方への逃避が問題になっている。
アイヌの山奥への逃避は和人の圧政に耐えかねて取った苦肉の策で逃避した場所は誰もいない山奥だった。

いっぽう、今、問題になっている逃避場所はどこでも人が棲んでいるところで、ウィルスを持ち込む可能性が大きい。
しかもわれわれは圧政に晒されている訳でもない。
逃げ出すかどうかは個人個人の良識に任されている。

今回の新型コロナウィルスの恐ろしさ、自分が逃げ出すことが社会的にどういう行いなのかをよくよく考える必要があるだろう。