瓜生中 公式ブログ
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仏教

般若心経は訳さないのが大事!?正確に発音することが大事!!

古くからとなえられていた「羯諦(ぎゃてい) 羯諦」

『般若心経(般若心経)』の最後には「羯諦 羯諦 波羅羯諦(はらぎゃあてい)……」という有名な言葉がある。

これは真言(しんごん・呪文)で、何か危機に遭遇したときや病気やケガをしたときなどにとなえると効果があると信じられていた。

 

このような真言は『法華経(ほけきょう)』をはじめとする他の大乗仏典(大乗仏教)にもしばしば登場する。

しかし、真言は古くから「不訳(ふやく・やくさず)」といわれ、翻訳しないのが大原則になっている。

というよりも、もともと真言に使われているサンスクリット語(インドの古い言葉で大乗仏典のほとんどすべてはこの言葉で書かれている)は正規の文法から外れているのである。

 

だから、「羯諦(ぎゃてい) 羯諦……」にしてもだいたいの意味はとれても正確に訳すことができず、けっきょくは意味不明のままということになる。

しかし、真言には意味は分からなくてもそれ自体に極めて優れた効力があると信じられている。

だから、声を出して真言を正確に発音すれば、願い事をかなえてくれるというのである。

 

日本ではこれを言霊(ことだま)といい、言葉の中に神秘的な力を持った霊が潜むと考えた。

『般若心経(はんにゃしんぎょう)』の「羯諦(ぎゃてい) 羯諦……」という真言は大乗仏教が広まったインドの広い地域で古くからとなえられてきたとかんがえられている。

そして、大乗仏教(だいじょうぶっきょう)が盛んになってくると、「空(くう)」の思想がその中心に据えられるようになる。

 

「空(くう)」は非常に哲学的、抽象的な難解な概念である。

しかし、大乗仏教の思想を追求した学僧(がくそう・学問僧)たちは、是非ともこの思想の存在だけでも人々に知らせたいと思ったのである。

真言に付け加えられた前半部分

 

先に述べたように「羯諦 羯諦……」の真言は古くからとなえられていた人気のある真言だった。

『般若心経』の作者はこのポピュラーな真言に「観自在菩薩(かんぜおんぼさつ)」以下の文章を付け加えることによって「空」の思想を広めようとしたのである。

そして、「羯諦(ぎゃあてい) 羯諦……」の前に「是大神呪 是大明呪……」という言葉がある。