瓜生中 公式ブログ
日本人を知り、その歴史と文化を知る。そこに未来が拓ける
日本の神話

日本神話の天照大御神はどんな神様?親や岩戸の逸話とは?

親は?

伊勢神宮(いせじんぐう)のご祭神(さいじん)として知られる天照大御神(あまてらすおおみかみ・以下、アマテラスという)は天皇家の遠祖(えんそ・遠い先祖)で、皇祖神(こうそしん・天皇家の先祖の神)と呼ばれている。

 

この神の父はイザナギ命(みこと)、母はイザナミ命で、両神は日本の国土を作り、多くの神々を生んだ。

しかし、最後にホノカグツチ神という火の神をイザナミは女陰(じょいん)を大火傷し、それがもとで死んで黄泉(よみ)国という死後の世界に行ってしまった。

 

一人残されたイザナギは悲しみに耐え兼ねてついに亡き妻のいる黄泉の国に行くことを決した。

しかし、黄泉の国で再開したイザナミは身体からウジが湧き、蛇やムカデが絡みつく世にもおどろおどろしい姿だった。

これを見たイザナギは百年の恋も冷めて一目散に逃げ出した。

やっとのことで逃げ出したイザナギはアワギ原(神話上の架空の地)というところの川で身を清めた。

 

ちなみに、これが今も神道で行われている「禊祓(みそぎはら)」の起源であるといわれている。

ただし、これは禊祓を神話になぞらえた話で、禊祓の起源については諸説ある。

 

このとき、左目を洗ったときに生まれたのがアマテラスだった。

そして、右目を洗うと弟のツクヨミミコトが生まれ、最後に口を漱いだときにスサノオ命が生まれたという。

神話の中の神々は生物的な性欲によって生まれるのではなく、水で洗ったり、何かに触れることによって生まれるのである。

 

イザナギは三人の子どもに三貴子(みはしらのうづみのみこ)という名を与え、大いに喜んだ。

そして、アマテラスは高天原(たかまがはら・天海)を、ツクヨミ命には夜の世界を、そして、スサノオ命には大海原を治めるように命じた。

天の岩戸

日本神話の中でもアマテラスが天の岩屋(いわや)に隠れたという話は最もよく知られている。

なぜ、隠れたのか?

次のような話が伝えられている。

 

先にも述べたように、三貴子はそれぞれ任地を指定されたが、大海原に行くように命じられたスサノオノミコトだけは、任地に行くのが嫌だといっていつまでもダダをこねて日々号泣していた。

これに愛想をつかしたイザナギは遠い国に行き失せてしまえとスサノオノミコトを勘当(かんどう)してしまう。

居場所を失ったスサノオノミコトは最後に姉のアマテラスに別れを告げようと高天原に昇って行った。

 

スサノオが登ってくると物凄い轟音(ごうおん)がとどろき、辺りの山は激しく揺れ動いた。

これを目の当たりにしたアマテラスをはじめとする高天原(たかまがはら)の神々はスサノオが高天原を乗っ取りに来たものと思い込んだ。

アマテラスは厳重に武装してスサノオを待ち受けた。

 

そして、やって来たスサノオに高天原を乗っ取るつもりで来たのではないかと厳しく問いただした。

スサノオはそんな邪心がないことを切々と訴えたが、姉や神々の疑いは晴れない。

そこで誓約(うけい)という一種の宗教的儀式を行うことにした。

誓約とは予め二つの異なる結果を決め、決めた通りの結果が出た方が勝つというものである。

 

このとき、スサノオが女の子(女神)を生めば勝利する。

つまり、身の潔白が証明されるという取り決めがなされた。

アマテラスが首にかけていた勾玉の首飾りとスサノオは腰にさしていた剣を交換した。

スサノオは天の真名井という井戸で勾玉の首飾りを洗って口の中に放り込んで粉々に粉砕して一気に噴き出した。

 

いっぽう、アマテラスはスサノオから受け取った剣を真名井で洗い、いくつにも折って口の中に入れて粉々に噛み砕き、これまた、一気に噴き出した。

その結果、スサノオは見事に三柱(みはしら・三人)女神を生み、アマテラスは五柱の男神を生んだ。

これによってスサノオの身の潔白は証明されたのである。

 

ちなみに、三柱の女神は九州の宗像大社(むなかたたいしゃ)で海上交通を守るよう命じられ、五柱の男神は各地の主要な国を治めるように命じられた。

このうち、次男のアメノホヒノミコトは出雲(いずも)に赴き、その子孫が現在の出雲大社の大宮司(だいぐうじ)である伝えられている。

 

先年、出雲大社の千家(せんげ)大宮司の子息と高円宮(たかまどのみや)家の息女が結婚したときに、大宮司の子息が記者会見で「私どものご先祖は天照大御神さまのご次男に当たられます」と述べたことは記憶に新しい。

岩戸に隠れる

さて、天照大御神と高天原の神々はスサノオの疑いが晴れてホッとしていた。

しかし、それも束の間のことで、疑いが晴れて勝ち誇ったスサノオが大暴れをはじめたのである。

 

アマテラスの食料を作る田んぼの畦道を壊し、加えて糞尿を撒き散らした。

はじめはアマテラスも弟の乱暴狼藉(らんぼうろうぜき)を弁護していた。

しかし、スサノオの破廉恥な行いはエスカレートする一方だった。

しまいには、アマテラスの神聖な衣装のための機を織る機屋の屋根の上から、なま剥ぎにした馬の皮を陥れるという凄まじい凶行に出た。

 

これに驚いたアマテラスは岩屋に引きこもり、その戸を固く閉ざしてしまったのである。
アマテラスはその名が示す通り、すべてを照らす太陽を神格化した神である。

アマテラスが岩屋に籠ると、世の中は真っ暗になり、悪い神が瞬く間にはびこり始めた。

まとめ

  • 天照大御神は父のイザナギ命の左目から生まれた。
  • 天照大御神に続いて右目を洗うと弟のツクヨミノミコトが、口を漱ぐとスサノオノミコトが生まれ、イザナギは三神を「三貴子(みはしらのうづみのみこ)」と名付けて大いに喜んだ。
  • 天照大御神は弟のスサノオノミコトの乱暴狼藉に耐え兼ねて天の岩屋に隠れてしまった。

もっと詳しく知りたい方は

知っておきたい日本の神話 (角川ソフィア文庫)

つづく